主な適応疾患 転移性脳腫瘍
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- 主な適応疾患 転移性脳腫瘍
疾患の概要
下垂体腫瘍(下垂体腺腫)は臨床病理学的に機能性腺腫と非機能性腺腫に分けられる。
機能性腺腫の主なものとして成長ホルモン産生腺腫(末端肥大症)、副腎皮質刺激ホルモン産生腺腫(クッシング病)、プロラクチン産生腺腫がある。
1.転移性脳腫瘍とは…
- もともと頭蓋(中枢神経系)以外に発生した腫瘍が、頭蓋内に転移してきて生じた脳腫瘍です。
多くは腫瘍細胞が血流にのって頭蓋内に到達し、そこで大きくなっていきます。しばしば多発性に生じます。 - 原因となる腫瘍のうち、最も多いものは「肺癌」です。
- 肺癌の場合には、他臓器には遠隔転移がないにもかかわらず、脳転移のみをきたす場合も珍しくありません。
2.転移性脳腫瘍のひろがり方(図1)
1) 腫瘍が「固まり」となって増大するもの
- 大脳皮質と灰白質の境界部分が好発部位といわれていますが、実際は頭蓋内のどこにでも生じます。周囲の脳組織を圧排して大きくなっていきます。
- 腫瘍内部まで細胞の詰まった、いわば身のつまったタイプ(充実性)と、腫瘍の内部に液体が貯留するタイプ(のう胞性)、いずれも混在するタイプなど、多彩な形状をとります。(図2)
- 腫瘍の影響で、その周囲の脳組織にむくみ(脳浮腫)を生じることが多く、腫瘍そのものよりも広範囲にわたって広がることも珍しくありません。
2) 脳の表面やしわに沿って膜状に広がるもの(髄液播種、癌性髄膜炎)
- 脳脊髄液内を浮遊した腫瘍細胞が脳の表面や脳室の壁に付着し、面状に広がった状態です。
図1:転移性脳腫瘍の進展様式
図2:転移性脳腫瘍のさまざまな形状
3.転移性脳腫瘍はどのようにして神経症状を生じるのでしょうか
1) 腫瘍そのものによる脳組織の圧排
- 転移性脳腫瘍が大きくなると、その周囲の脳組織が圧迫されることになります。そうなると、その部分が担っている脳の機能(運動、感覚、言語、バランス、高次脳機能など)が障害されますので、さまざまな神経症状(上肢や下肢の麻痺、言葉がでない、ふらつき、高次脳機能障害)や痙攣発作を生じることになります。
- 運動麻痺などの症状は、いったん出現すると日に日に悪化していくほど、急速に進行することもあります。
- 意欲低下や高次脳機能障害といった症状は、患者さん本人に気づかれることが少なく、また周囲の人々も認知症やうつ状態と思い込んでしまうために、腫瘍の発見が遅れることもあります。
- さらに腫瘍が大きくなると、頭蓋内の圧力が高くなり、頭痛、吐き気、嘔吐などの症状がでてきます。
2) 腫瘍周囲の脳のむくみ(脳浮腫)
- 転移性脳腫瘍の周囲には、しばしば広い範囲の脳のむくみ(脳浮腫)を生じることが多く、この脳浮腫も脳の機能障害をさらに悪化させる原因となります。
3) 髄膜刺激症状
- 癌性髄膜炎の場合には、頑固な頭痛、吐き気といった症状や、脳神経が直接冒されることによる多彩な症状が出現する場合もあります。
治療の目的
1.転移性脳腫瘍で命を落とさない(生命予後の改善)
- 転移性脳腫瘍を放置しておくと、やがて上で述べたような様々な症状が出現してきます。さらに有効な治療が行われないと、腫瘍による直接的なダメージに加えて、頭蓋内の圧力が高くなり、生命の維持に必要な脳の機能が損なわれてしまいます。最終的には、たとえ頭蓋外の悪性腫瘍がコントロールされていても、生命に危険が及ぶことになります。従って、転移性脳腫瘍に対する治療の目的のひとつは、転移性脳腫瘍による生命の危機を避けることにあるといえます。
2.神経症状の悪化を未然に防ぐ、あるいは改善する
- 転移性脳腫瘍が原因で引き起こされる様々な神経症状、たとえば上肢や下肢の麻痺やめまい、ふらつきなどは、患者さんのquality of life (QOL、生活の質)を大きく低下させてしまいます。腫瘍を治療することにより、今後生じてくる恐れのある神経症状を未然に防ぎ、またあるいはすでに神経症状が出現している場合には、これを改善させることも、治療の大きな目的のひとつです。
転移性脳腫瘍に対する治療方法
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悪性腫瘍に対する治療方法としては、一般的には以下の3本柱から成り立っています。
- 1) 手術療法
- 2) 薬物療法(化学療法、分子標的治療薬)
- 3) 放射線治療
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さらに転移性脳腫瘍に対する放射線治療は、
- a. 定位照射
- b. 全脳照射
に分類されます。ガンマナイフ治療は「定位照射」の代表的な治療方法です。
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「全脳照射」とは、「(腫瘍と脳組織を含めた)脳全体」に対して放射線を照射する方法です。10-20回をかけて照射することが多いです。
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「定位照射」とは、読んで字のごとく「位置」を「定めて」放射線を照射する方法です。この場合、狙いは転移性脳腫瘍になります
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定位照射」が可能な放射線治療機器としては、ガンマナイフの他に「ノバリス(ブレインラボ社)」「サイバーナイフ(アキュレイ社)」「トリロジー(バリアン社)」「トモセラピー(トモセラピー社)」などがあります。それぞれ、腫瘍に正確に照射を行うためのシステムや、治療計画(どの部分にどの程度の強さの放射線をあてるのかを決めるもの)をつくるために使用する診断画像やソフトウェアが異なっています。
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ひとくちに「定位照射」といっても厳密には異なった治療システムが含まれていることになります。したがって、これまで文献などで報告されてきた治療成績がガンマナイフを用いて得られたものである場合、同じ定位照射といっても、そのまま他の定位放射線治療装置の場合にも当てはめることができるかは断言できません。