主な適応疾患 転移性脳腫瘍
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ガンマナイフの特徴
1短期間の入院
- 他の疾患に対するガンマナイフと同様に、転移性脳腫瘍に対するガンマナイフも多くの場合には1日で治療が完了します。治療前日に入院し、翌日に退院する場合、治療に要するのはわずか2泊3日程度の入院です。また多くの場合、退院後ただちに化学療法を行うことも可能です。この点は、他臓器に対する治療もすみやかに行うために、脳転移の治療にばかり時間や体力を割くことが許されない転移性脳腫瘍の患者さんにとって、おおきなメリットです。
21日の治療で多発する脳腫瘍に対する治療が完了
- 転移性脳腫瘍は1個とは限りません。ガンマナイフは多発性転移性脳腫瘍であっても、他の定位放射線治療装置と比較して、容易に1日で治療を完了することが可能です。何カ所の脳転移までならガンマナイフで治療してよいか、という点については、今なお多くの議論がある点ですが、条件を満たせば少なくとも10個程度の脳転移はガンマナイフにより安全に治療を行えることが報告されています。また現在、さらに多発性転移性脳腫瘍に対するガンマナイフ治療の成績をまとめるために、わが国のガンマナイフに関わる医師たちが力を合わせて、多施設共同研究*を行っています。
*「転移性脳腫瘍に対するガンマナイフ単独治療成績前向き多施設共同研究(UMIN試験ID 000001812)」
研究の概要は、インターネット上のUMIN(大学病院医療情報ネットワーク)のページでご覧になれます。
3ごく小さな脳転移であっても正確な治療が可能
- 目標を正確に狙い撃ちするためには、ターゲットがどこに位置しているのかを示す正確な「地図」が必要不可欠です。定位照射においては、その地図が頭部造影CTやMRIといった診断画像にあたります。直径2-3mm以下の転移性脳腫瘍はCTでは診断が困難であり、造影MRIでのみ明瞭に描出される場合も少なくありません。ガンマナイフは、他の定位放射線治療装置と異なって、造影MRI画像上の位置情報を修正することなく、直接、治療計画用コンピューターに読み込んで治療計画を立てることが可能です。このことは、誤差が生じる余地が少ない、精度の高い治療計画につながります。
- このような小さな脳転移も、治療を行うことなく放置されれば、やがては大きくなり神経症状を生じる恐れがあります。診断時の画像診断では発見されなかったような直径数mm以下の転移性脳腫瘍であっても、治療計画用造影MRIで描出されれば、ガンマナイフではこれに対しても同日中にあわせて治療を行うことが可能です。
- 治療費用は、治療を行った転移性脳腫瘍の数にかかわらず定額です(多数の脳腫瘍を治療したために医療費が高くなることはありません)。
4比類なき豊富な治療経験 ~温故知新~
- わが国では1990年にガンマナイフが導入されて以来、20年にわたり、のべ150,000人の転移性脳腫瘍の患者さんに対して治療を行っています。定位放射線治療機器のなかでは最多の治療経験数を有しており、さらにその経験に基づいて、絶えずハードウェアやソフトウェアに改良が加えられてきました。
- 経験が豊富であることは、必ずしもガンマナイフが「クラシック」であることを意味しません。「多くの放射線ビームを1点に集中照射する」というガンマナイフ自体の優れた基本コンセプトは脈々と受け継がれながらも、画像診断技術の進歩や治療計画用コンピューターの性能向上、そしてガンマナイフユニットのアップグレードなどによって、トータルな意味でのガンマナイフ治療は常に進化を続けているといえます。
- こうして得られた進歩が、「ガンマナイフ学会」といった、ガンマナイフに関わる医療スタッフ達のコミュニティーを通じて、全国的、あるいは世界的に共有できるような組織的な教育システムが確立していることも、治療レベルの向上に役立っています。
5高い精度を提供する治療システム
- ガンマナイフではフレーム固定が必要です。フレーム固定は確かに患者さんにとって心理的、肉体的な負担となり、フレームを使用しない他の定位放射線治療と比較するとデメリットのように思われるかもしれません。しかし、物理的な固定こそが、妥協のない高い信頼性の精度を保証しています。さらに、フレーム固定に伴う痛みについては最小限ですむよう、各ガンマナイフ施設で工夫を重ねています。ご不安やご心配な点がありましたら、遠慮なく担当医までお尋ねください。