一般社団法人日本ガンマナイフ学会

The Japanese Leksell Gamma Knife Society-JLGK

主な適応疾患 転移性脳腫瘍

  1. HOME

  2. 主な適応疾患 転移性脳腫瘍

ガンマナイフ治療により期待される治療効果

1.腫瘍のコントロール

  • ガンマナイフのみによる治療を行った10,000個以上の転移性脳腫瘍について、綿密な分析を行ったSerizawaらによると、治療1年後において腫瘍のコントロール(少なくとも腫瘍の増大が抑えられている状態)が得られる率は以下のように報告されています。
腫瘍体積 ≦1ml 99.5%
1-4ml 92.6%
4-10ml 87.3%
>10ml

J Neurosurg. 2006 Dec;105 Suppl:86-90.
Gamma Knife surgery for metastatic brain tumors without prophylactic whole-brain radiotherapy: results in 1000 consecutive cases.
Serizawa T1, Higuchi Y, Ono J, Matsuda S, Nagano O, Iwadate Y, Saeki N.

2.Quality of life (QOL、生活の質)

  • 転移性脳腫瘍の治療目的は、生命の危機を回避することもさることながら、腫瘍によって生じる神経症状を改善あるいは防ぐことにより、患者さんが有意義な時間を過ごせるようにすることであり、我々はこれがもっとも重要な点であると考えています(図3)。
  • 転移性脳腫瘍の患者さんは、いかなる治療にもかかわらず残念ながらお亡くなりになることも少なくありません。ただし、ガンマナイフを受けた患者さんの場合、中枢神経系(脳・脊髄)の転移性腫瘍が悪化したことが原因でお亡くなりになるのは、全体の20%以下に過ぎません。
  • ガンマナイフ治療は、脳腫瘍によるQOLの低下を防ぐのに大きな効果があります。頭蓋外の腫瘍が良好にコントロールされれば、80%以上の患者さんではガンマナイフ治療時のADL(Activities of Daily Living、寝起きや移動、排泄、入浴、食事、着替えなど日常生活において最低限必要な動作)のレベルが維持されるとの報告もあります。

図3:転移性脳腫瘍に対するガンマナイフ治療効果の一例

58才女性、肺癌からの転移性脳腫瘍の患者さんです。
左手足に力が入らなくなったために頭部MRIを撮影したところ、脳転移(白矢印、最大径30mm)がみつかり、ガンマナイフ治療を行いました。
治療3週間後には左手足の麻痺はほとんどなくなり、通常の生活が送れるようになりました。治療2ヵ月後の頭部MRIでは腫瘍の消失が確認されています。

問題点

  • ガンマナイフ治療は、放射線治療の一種です。放射線は腫瘍に対しては効果的ですが、一方で正常脳組織にはダメージを与える恐れがあります。ガンマナイフ治療の長所は、正確かつ集中的に転移性脳腫瘍に対して放射線を照射できる点であることに間違いはありませんが、腫瘍のすぐ周囲にある正常脳組織に全く放射線があたらない、というわけではありません。
  • 正常脳組織に放射線があたると、炎症や壊死が生じることがあります。この炎症や壊死は時として徐々に拡大することがあり、そうなるとやがて、腫瘍が増大した場合と同様に、その部位が担っている機能が障害され神経症状が現れることになります。
  • 主な治療方法としてはステロイド剤の投与ですが、治療にもかかわらず長期化し数ヶ月以上も症状が持続し難渋する場合もあります。薬物療法によっても神経症状が改善せず、全身状態が良好な場合には、病変の部位にもよりますが、外科的な摘出が検討されることもあります。

監修: 赤羽 敦也(NTT東日本関東病院 ガンマナイフセンター)

ガンマナイフの特徴へ